11/1更新 『 expodisc 2.0 でホワイトバランスを補正する vol.2』
不自然な色の原因はホワイトバランス
デジタルカメラのイメージセンサーは近年性能が良くなってきています。ですので好みはあるとしても、「おかしな色」や「変な色」のデジタルカメラは今はほとんど存在しないでしょう。とは言うものの、現実的には「変な色」や「不自然な色」の写真が撮影されてしまう場合が多くあります。これはホワイトバランスのずれが原因で、特に「A W B ( オートホワイトバランス) 」を使用している時によく起きます。
A W B はまだまだ発展途上でA E ( 自動露出) と同じで必ずしも万能ではなく、シーンによっては外したり、色がばらついたりすることがあります。
AWBで撮影した写真
expodiscを使用して撮影した写真
上の2 種類の写真はそれぞれホワイトバランスの設定を変えて撮影したものです。
左がA W B ( オートホワイトバランス) とe x p o d i s c 2 . 0 を使ったマニュアルホワイトバランスになります。
AWB(オートホワイトバランス)
オートホワイトバランスでは主に、写真の中の被写体の「色」を見てホワイトバランスを判断します。また、カメラ自身はそこに写っているものが何なのかは認識できません。そのためこの例の場合、背景の壁の黄色を夕暮れや電球などの「黄色い光源( 照明) 」と認識した場合にはその黄色味を抑えるために青く補正しようとします。
その結果がこのように青かぶりした写真になり、色の濁りや不自然な色味の写真に繋がります。
e x p o d i s c 2 . 0 ( マニュアルホワイトバランス)
e x p o d i s c 2 . 0 でテスト撮影した画像は光源色のみの画像となります。そのため、その画像をマニュアルホワイトバランス用の画像としてセットすることで、このようなシーンでも被写体の色に依存することなく、正確なホワイトバランスを得ることができるのです。
AWB とexpodisc2.0 の違い
色温度を変られる撮影用L E D 照明の下、カメラのA W B とe x p o d i s c 2 . 0 でホワイトバランスを合わせたものを比較してみます。
光源の色温度
AWB
expodisc2.0
3200K
3200K
+
5500K
5500K
A W B ( オートホワイトバランス)
ホワイトバランスを取りきれず、照明の色見味が残っている。また、照明の色味が変わるたびに、A W B の結果も異なり、それぞれ色がばらついてしまう。
e x p o d i s c 2 . 0 ( マニュアルホワイトバランス)
照明の色味が変化してもある程度一定で安定したホワイトバランスが得られている。
安定したホワイトバランスは、業務でアルバムを作る際や作品で組写真を制作する際など、カットごとのばらつきを抑え、後処理( 画像編集等) の作業時間を大幅に削減することができます。照明の変化しやすいパーティー会場での撮影や、天気や太陽の色味の変わりやすいロケーション撮影では効果を発揮します。
expodisc2.0 で理想の色を追求
ホワイトバランスが合っている写真が必ずしも理想の写真で無い場合もあると思います。
その場合でも、カメラの「ホワイトバランスシフト」機能を使って皆様の理想の色に近づけることができます。
e x p o d i s c 2 . 0 では安定したホワイトバランスの結果を得ることができるのでそこからの色作りは思い通りになります。
☆POINT☆ ホワイトバランスシフト機能とは、カメラに設定されたホワイトバランスを意図的にずらす機能です。e x p o d i s c 2 . 0 を使用し、正確なW B を安定して得ることができれば、このズレ量が皆様の写真の味付けとなります。
使用例1 ( W B を追い込む)
様々な色の光源
expodisc
2.0
expodisc2.0を
使用して正確なWB
WBシフト
WBシフトを使って
狙った色調へ
使用例2 ( バリエーション)
様々な色の光源
expodisc
2.0
expodisc2.0を
使用して正確なWB
WBシフト
WBシフトを使って
狙った色調へ
暖色/寒色シフト
expodisc2.0 の性能
e x p o d i s c 2 . 0 のホワイトバランスセッターとしての性能を検証してみました。
リファレンス( 正解) とするのは、私自身も商品撮影など、固定の環境では信頼して使用しているD a t a c o l o r 社製のS p y d e r C h e c k e r と呼ばれるカラーチャートです。このチャートのグレー部分でR A W 現像時にホワイトバランスを合わせたものをW B の基準とします。日陰での撮影となります。
R A W 現像時にグレーでホワイトバランス
A W B
( オートホワイトバランス)
e x p o d i s c 2 . 0
( マニュアルホワイトバランス)
A W B ( オートホワイトバランス)
青味がかり色が濁って見えます。露出が暗めの肌色では青味が強すぎると黒っぽく見えてしまう傾向があり写真全体の雰囲気もあまり良くありません。
e x p o d i s c 2 . 0 ( マニュアルホワイトバランス)
若干の誤差はあるもののS p y d e r C h e c k e r + R A W 現像を行ってホワイトバランスを合わせたものとほぼ同様の色調となりました。
expodisc 2.0 セット内容&詳細
e x p o d i s c 2 . 0 には以下のものが含まれています。
1 . E x p o D i s c 2 . 0 ホワイトバランスフィルター
2 . ストラップ
3 . ポートレートウォームフィルター
4 . クイックスタートガイド(多国語版/日本語版)
5 . 校正証明カード
6 . キャリーポーチ
e x p o d i s c 2 . 0 ホワイトバランスフィルター本体
表面に並んだレンズと裏面のディフューザーで環境光のみを取得。
横山 崇 Takashi Yokoyama
( カメラマン・デザイナー)
SILKYPIX テクニカルアドバイザー
EIZO ColorEdge Ambassador
フォトマスター検定委員/ EX
1975 年千葉県千葉市まれ。
・大日本印刷( 株) のデザイン部門を経て( 株) 市川ソフトラボラトリーに入社。RAW 現像ソフトSILKYPIX シリーズのプロモーションや製品企画に携わる。
・2016 年よりフリーランスとして広告/肖像写真撮影を中心に活動中です。メーカー勤務の実績を活かして写真愛好家向けのワークショップやイベントなども企画しています。
初心者の方にもわかりやすく、楽しい解説ができるように心がけています。現在FUJIFILM AcademyX でも講座を行っています。
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